SAFETY GUIDE
売る意思がないときは、理由を重ねず、はっきり断ることが大切です
押し買いとは、本人が望んでいないのに、強引な勧誘などによって品物の売却を迫る行為を指す一般的な呼び方です。法律上の取引類型は「訪問購入」であり、すべての訪問購入に問題があるわけではありません。
ただし、依頼していない突然の訪問、査定だけの依頼を超えた勧誘、承諾していない品物への勧誘、断った後も続く勧誘などは、特定商取引法上の規制に関わります。売る意思がなければ「売却しません」「勧誘をお断りします」と明確に伝え、危険を感じる場合は一人で対応を続けないでください。
- 突然の訪問では、ドアを開けず、家の中へ入れない
- 依頼した品物以外は「見せません・売りません」と区切る
- 契約後や品物を渡した後でも、書類を保管して早めに相談する
結論|売る意思がなければ、曖昧にせず断る
断るときに長い理由を説明する必要はありません。「今は考えます」「家族に聞いてから」といった返答は、話を続ける余地があると受け取られる場合があります。売却する意思がないなら、対象と意思を短く伝えます。
まず伝える言葉
「その品物は売却しません。勧誘をお断りします。」
退去を求める場合は「お帰りください」と明確に伝えます。ただし、威圧されている、ドアを押さえられている、室内へ入られたなど危険がある場合は、言い合いを続けず、安全を確保して警察へ連絡してください。
01
家へ入れない
依頼していない訪問では、インターホン越しに対応し、玄関ドアを開けないことが基本です。
02
見せる品物を増やさない
依頼した品物以外を求められても、収納場所へ案内したり、貴金属などを取り出したりしないでください。
03
一人で抱え込まない
不安がある時点で家族へ連絡し、契約や勧誘の相談は消費者ホットライン188へ早めに相談します。
押し買いとは?訪問購入との違い
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、「訪問購入」を、購入業者が店舗等以外の場所、例えば消費者の自宅などで契約を締結して物品を購入する取引と説明しています。
一方の「押し買い」は法律上の取引類型名ではなく、本人の意思に反して売却を迫る強引な行為を表す一般的な呼び方です。出張買取や訪問購入のすべてを押し買いと呼ぶわけではありません。
通常の訪問購入
- 利用者が対象品を理解して訪問や勧誘を承諾している
- 事業者名、勧誘目的、購入対象の物品が示される
- 売るかどうかを利用者が判断できる
- 契約時に必要事項を記載した書面が交付される
押し買いと呼ばれる問題行為
- 頼んでいないのに突然来て売却を迫る
- 査定だけの依頼を超えて契約を迫る
- 承諾していない貴金属などを出すよう求める
- 断っても勧誘を続ける、帰らない、威圧する
大切なのは、訪問購入という方法そのものではなく、訪問の約束、対象品、勧誘への同意、断った後の対応、契約書面が適切かを確認することです。
押し買いにつながりやすい勧誘のパターン
国民生活センターの注意喚起では、不要な皿や衣類などの買取をきっかけに訪問を了承させ、訪問後に貴金属など別の品物を求めるケースや、断ってもしつこく居座るケースが紹介されています。次は、公的な注意喚起で示された相談傾向を基に整理した一般的なパターンです。
電話で訪問の了承を得ようとする
「不用な食器を買う」「リサイクルや寄付に役立てる」などと説明し、来訪の約束を急がせます。
約束と違う品物を求める
衣類や食器のはずが、貴金属、時計、ブランド品、記念硬貨などを見せるよう求めます。
とにかく家へ入ろうとする
「査定だけ」「すぐ終わる」などと言いながら、玄関先ではなく室内での対応を求めます。
断っても話を終えない
何度断っても別の品物を尋ねたり、査定結果待ちなどを理由に長時間居続けたりします。
契約を急がせる
「今だけ」「今日でなければ値段が下がる」などと伝え、十分に確認する時間を与えません。
書面の内容が分かりにくい
物品名や特徴、個別の価格、事業者の連絡先などが不明確な書面を渡す場合があります。
貴重品の所在を伝えない
国民生活センターは、訪問購入をきっかけに、業者が帰った後に貴金属がなくなっていたなど、犯罪まがいの深刻な相談についても注意を呼びかけています。売る予定のない物は見せず、目を離さず、突然来た事業者を家へ入れないことが重要です。
場面別|訪問購入を断る言い方
断る言葉は、短く、対象と意思が分かる形にします。「結構です」は、承諾とも拒否とも受け取られる可能性があるため、売らない意思を具体的に伝えるほうが明確です。
電話で訪問を勧められたとき
「訪問は依頼しません。今後の勧誘もお断りします。」
訪問日を決める前に断ります。事業者名や連絡先が分からないまま了承してしまった場合でも、来訪時にドアを開ける必要はありません。
依頼していない業者が突然来たとき
「査定も買取も依頼していません。お帰りください。」
インターホン越しに対応し、玄関ドアを開けません。家族の名前や在宅状況なども詳しく伝えないようにします。
玄関先で売却を求められたとき
「売却しません。勧誘をお断りします。」
査定額の説明を聞くために品物を渡した場合でも、契約前なら、納得できない品物を売る必要はありません。
依頼した物以外を求められたとき
「依頼した品物以外は見せません。売りません。」
「何か一つだけ」「見るだけ」と言われても、売却予定がない品物は収納場所から出さないでください。
査定だけのつもりなのに契約を迫られたとき
「今日は査定結果の確認だけです。契約しません。」
査定を頼んだことと、売却の勧誘を受けることや契約することは同じではありません。
断っても話を続けられたとき
「契約する意思はありません。これ以上の勧誘はやめてください。」
同じ説明を繰り返す必要はありません。家族へ連絡し、一人での対応を終わらせます。
退去を求めても帰らないとき
「退去を求めます。すぐにお帰りください。」
危険を感じる状況では、警察へ連絡することを伝えるより先に、安全な場所へ移動して通報して構いません。
今後の電話や訪問も止めたいとき
「今後の電話、訪問、勧誘をすべてお断りします。」
断った後も連絡や訪問が繰り返される場合は、日時や連絡先を記録し、消費生活センターや警察へ相談してください。
断っても帰らない場合は、安全確保を優先する
相手を説得し続ける必要はありません。「帰ってほしい」と伝えても退去しない、声を荒らげる、室内へ入ろうとする、ドアを押さえるなどの状況では、身の安全を優先します。
-
1
ドアを開けない・別の部屋へ移動する
突然の訪問では、インターホン越しに断ります。すでに室内へ入られている場合は、出口をふさぐような行動は避け、可能なら家族がいる場所や施錠できる部屋へ移動します。
-
2
家族や近隣の人へ連絡する
一人で対応を続けず、家族へ電話をつなぐ、近くにいる人へ助けを求めるなど、第三者が状況を把握できるようにします。
-
3
現在進行形の危険があれば110番
暴力や脅迫、無理な侵入、窃盗が疑われる行為など、警察官にすぐ来てほしい事件・事故の状況では110番へ通報します。
-
4
安全な範囲で記録を残す
事業者名、電話番号、訪問日時、担当者名、車両情報、受け取った書面などを、無理のない範囲で残します。危険を冒して撮影したり、相手へ接近したりしないでください。
緊急ではないが不安がある、繰り返し訪問されている場合:警察相談専用電話#9110
契約、勧誘、書面、クーリング・オフについて相談したい場合:消費者ホットライン188
現在、危険が迫り、警察官にすぐ来てほしい場合:110番
契約書へ署名した・品物を渡した後にすること
契約してしまった、代金を受け取った、品物を渡したという場合でも、自己判断で諦めないでください。訪問購入に該当し、適用除外でなければ、クーリング・オフを利用できる可能性があります。
書面と連絡記録を集める
契約書面、名刺、チラシ、振込記録、着信履歴、メッセージ、品物の写真や保証書などを保管します。書面を捨てたり、相手へ返したりしないでください。
物品と価格を確認する
何を、いくらで、いつ引き渡したかを確認します。書面に品物名や特徴、個別の価格が正しく記載されているかも見ます。
早めに188へ相談する
法定書面を受け取った日から数えて8日以内がクーリング・オフの原則期間です。書面の不備や妨害がある場合も含め、手続き前に相談すると整理しやすくなります。
まだ渡していなければ引渡しを保留する
対象となる訪問購入では、クーリング・オフ期間中、契約対象の物品の引渡しを拒むことができます。
すでに品物を渡した場合
対象となる訪問購入でクーリング・オフを行った場合、事業者の負担で品物を返却してもらい、受け取った売却代金を返すことができます。代金の利息、損害賠償、違約金を支払う必要はないと案内されています。ただし、対象物品や取引には適用除外があり、第三者への引渡しなど個別事情もあります。詳しい条件と通知方法は、出張買取のクーリングオフ|期間・対象・手続き方法で確認し、消費生活センターへ早めに相談してください。
押し買いに関係する訪問購入の主なルール
特定商取引法では、訪問購入を行う事業者の勧誘や書面についてルールを設けています。個別の契約判断は公的窓口へ確認する必要がありますが、利用者側が知っておきたい要点は次のとおりです。
| 確認項目 | 主な内容 | 利用者が確認すること |
|---|---|---|
| 勧誘前の明示 | 事業者名、契約を勧誘する目的、購入しようとする物品の種類を伝える必要があります。 | 誰が、何を買う目的で来るのかを確認します。 |
| 飛び込み勧誘 | 勧誘を要請していない人への自宅での勧誘や、査定だけの依頼を超えた勧誘は規制されています。 | 依頼していない訪問ではドアを開けず、査定と売却勧誘を分けます。 |
| 意思確認と再勧誘 | 勧誘前に意思を確認する必要があり、契約する意思がないと示した後の勧誘継続や再勧誘は禁止されています。 | 「契約しません」「勧誘を断ります」と明確に伝えます。 |
| 禁止行為 | 事実と違う説明、重要事項を故意に伝えない行為、威迫して困惑させる行為などが禁止されています。 | 急がされても署名せず、説明と書面を確認します。 |
| 契約書面 | 物品、価格、支払・引渡し、解除、事業者情報、担当者などを記載した書面の交付が必要です。 | 品物ごとの特徴と価格、事業者の連絡先を確認し、書面を保管します。 |
| クーリング・オフ | 対象となる訪問購入では、法定書面を受け取った日から数えて8日以内が原則です。書面または電磁的記録で通知できます。 | 期間を自己判断せず、契約後は早めに188へ相談します。 |
| 引渡しの拒絶 | クーリング・オフ期間中は、契約対象の物品の引渡しを拒むことができます。 | 迷いがある場合は、その場で品物を渡さず保留します。 |
対象外となる物品や取引があります
訪問購入の規定には適用除外があります。また、政令で定められた、自動車(二輪のものを除く)、家庭用電気機械器具(携行が容易なものを除く)、家具、書籍、有価証券、レコードやCD・DVD・ゲームソフトなどの記録媒体は、特定商取引法上の訪問購入の対象物品から除かれています。
契約場所、取引の経緯、品物によって結論が変わるため、「訪問されたから必ずクーリング・オフできる」とは限りません。詳しくは、消費者庁「特定商取引法ガイド|訪問購入」と消費生活センターで確認してください。
高齢の親や家族がトラブルに遭ったとき
国民生活センターは、消費生活センター等への相談は、本人だけでなく、家族、ホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも可能と案内しています。本人が詳しく説明できない場合や、契約したことを責められるのではと不安に感じている場合も、周囲が早めに相談してください。
- 本人を責めない:強い勧誘や不安の中で契約した可能性があります。まず安全と事実確認を優先します。
- 書面と品物を確認する:契約書面、名刺、入金、なくなった物、手元に残った物を一緒に確認します。
- 事業者からの再連絡を確認する:着信履歴や訪問予定を確認し、一人で再対応させないようにします。
- 周囲の支援先へつなぐ:188、警察、地域包括支援センターなど、状況に合う窓口へ相談します。
家族が確認する質問
- 最初の電話では、何を買い取ると説明されていたか
- 訪問した事業者名、担当者名、連絡先は分かるか
- 売る予定がなかった品物を求められなかったか
- 契約書面を受け取った日と、品物を渡した日はいつか
- 今も電話や再訪問の予定がないか
188・#9110・110は状況で使い分ける
相談先は、契約の問題か、安全上の不安か、現在進行形の緊急事態かで選びます。迷う場合は、状況を伝えて案内を受けてください。
188
消費者ホットライン
契約、強引な勧誘、書面、クーリング・オフ、返還交渉など、消費者トラブルについて相談したいときに利用します。最寄りの消費生活センター等へ案内されます。
#9110
警察相談専用電話
緊急ではないものの、怖い、繰り返し電話や訪問がある、今後の安全が不安など、警察へ相談したいときの全国共通番号です。
110
緊急通報
暴力、脅迫、侵入、窃盗が疑われる行為などが現在起きており、警察官にすぐ現場へ来てほしい場合に通報します。
相談したから必ず契約が解除される、品物が戻るとは限りません。しかし、時間が経つほど状況確認が難しくなる場合があります。契約後や品物の引渡し後は、書面と記録を手元に用意して早めに相談してください。
KAITORI ATTEND
買取アテンドは、電話確認後に原則1社を選定します
ここまで説明したのは、訪問購入全般のルールと対処法です。買取アテンドは出張買取店ではなく、相談内容を確認し、条件に合う出張買取店を原則1社選定して紹介するサービスです。一括査定ではありません。
申込み後に電話で確認
品物、点数、状態、地域、希望日時、建物条件、売却の意向などを分かる範囲で確認します。
複数社へ一斉送信しない
利用者情報を複数の買取店へ同時配信する仕組みではありません。紹介先として選定するのは原則1社です。
共有前に同意を確認
選定した紹介先へ情報を共有する前に、共有内容を案内し、利用者の同意を確認します。
査定後の売却判断は利用者
紹介先の査定内容や金額に納得できない場合は、売却を見送ることができます。
品物、状態、点数、地域、日時、建物条件などによっては、条件に合う会社が見つからず紹介できない場合があります。また、買取アテンド自体は査定、買取、売買契約、支払い、搬出、回収、処分を行わず、査定額、高価買取、買取成立、紹介成立を保証しません。
情報共有や売却判断に関する詳しい方針は、安心・安全への取り組みをご確認ください。
訪問購入を受ける前のチェックリスト
- 自分から訪問や売却の勧誘を依頼したか
- 事業者名、所在地、連絡先を確認できるか
- 訪問目的と、買い取る予定の物品が一致しているか
- 査定だけか、売却の勧誘も受けるのかを区別しているか
- 売らない物を家族と共有し、別に保管しているか
- 一人での対応に不安がある場合、同席者を頼めるか
- 契約前に品物ごとの価格と書面を確認する時間があるか
- 断った場合の連絡先と、188・#9110・110の使い分けを知っているか
押し買い・訪問購入のよくある質問
突然来た訪問買取業者は断れますか?
はい。査定や買取を依頼していない場合は、インターホン越しに「依頼していません。お帰りください」と伝え、ドアを開けないでください。訪問購入では、勧誘を要請していない人への飛び込み勧誘が規制されています。
査定だけを依頼したのに売却を迫られた場合はどうすればよいですか?
「査定だけの依頼です。契約しません」と明確に伝えてください。消費者庁は、単に査定の依頼があった場合に、査定を超えて勧誘することは特定商取引法に抵触すると案内しています。
断っても業者が帰らない場合はどこへ連絡すればよいですか?
暴力、脅迫、侵入など現在進行形の危険があり、警察官にすぐ来てほしい場合は110番です。緊急ではない警察相談は#9110、契約や勧誘の相談は消費者ホットライン188を利用します。
売るつもりのなかった品物を渡した後でも相談できますか?
相談できます。契約書面、名刺、連絡記録、引き渡した品物と価格が分かる資料を保管し、早めに188へ相談してください。取引が訪問購入に該当し、適用除外でなければ、クーリング・オフを利用できる可能性があります。
家族が押し買いに遭った場合、家族から相談できますか?
国民生活センターは、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも消費生活センター等へ相談できると案内しています。本人を責めず、書面や品物の状況を確認して早めに相談してください。
まとめ|売らない意思を伝え、危険や契約後の不安は早めに相談する
押し買いは、本人が望んでいないのに強引な勧誘などで品物の売却を迫る行為を指す一般的な言葉です。法律上の訪問購入すべてが問題なのではなく、勧誘の要請、対象品、断った後の対応、契約書面などを分けて確認する必要があります。
- 頼んでいない突然の訪問では、ドアを開けず家へ入れない
- 売らない場合は「売却しません」「勧誘を断ります」と明確に伝える
- 依頼した品物以外は見せず、収納場所を案内しない
- 危険が迫る場合は110番、緊急でない警察相談は#9110を利用する
- 契約やクーリング・オフは書面を保管して188へ早めに相談する
契約後や品物を渡した後でも、対象となる訪問購入であれば利用できる制度があります。適用除外や個別事情があるため、自己判断で諦めず、公的な相談窓口へ確認してください。
参考にした公式資料
- 消費者庁「特定商取引法ガイド|訪問購入」
- 消費者庁「特定商取引に関する法律施行令第34条で規定する物品の具体例」
- 国民生活センター「きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!」
- 国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」
- 国民生活センター「しつこい訪問買取」消費者トラブルFAQ
- 国民生活センター「クーリング・オフ」
- 消費者庁「消費者ホットライン188」
- 警視庁「警察相談ダイヤル#9110」
- 警視庁「こんなときこそ110番」
確認日:2026年8月4日。法律・制度・相談窓口は変更される場合があるため、個別のトラブルは最新の公式情報をご確認ください。